校長メッセージ<弥生>

2016/03/01

「続・別れと出会いの春」〜忘れてはならないもの〜

 いよいよ春の訪れを感じさせる3月(弥生の月)となりました。まだまだ風は冷たく真冬日のような寒さの日もありますが、それでも明るさを増した陽射しが春はもうそこまで来ていることを感じさせてくれます。

 さて、この3月は、『東日本大震災』から5年目を迎えます。桜丘では大震災の翌年から毎年、学年団として南三陸の被災地を訪問しています。そのきっかけは、その年の高校第2学年からの提案でした。直接現地に赴かなければ分からない被害の現状、そこに日々生活をする方々がいること、その思いを共有することで私たちにできることやれることが必ずある。訪問を検討し始めたのは、大震災があったまさにその年でした。まだ学校での訪問団などの話はまったくない時期でした。保護者の方々や生徒の皆さんはどう受け止めるだろうか、余震があるなか、約400名の学年団が訪問することを生徒と保護者、学校の三者がどのようにこの現実と向き合い受け止めるべきなのか。事前に調査したデータ等も含め、東京にいることと変わらないことが分かりました。生徒の皆さんはじめ保護者の皆様のご理解を頂けたことも前進に繋がりました。多少なりとも復興への意欲やエネルギーの一部になるのであれば、もし自分達が逆の立場であったら、そのような思いもあっての実施でした。

 最初に訪問した年は、まだまだいたるところに震災の爪痕がはっきりと残っていました。水が溜まった場所も多く、残骸もあちこちに見られました。今は骨組みだけになった「南三陸の防災庁舎」も痛々しい建物のままでした。バスの車窓から目にするものすべてから、当時の状況を想像することは容易でした。その深く大きな爪痕を本校生徒たちも共有し何ができるかを真剣に考え、恵まれている自分の環境に甘えることなく、自分にできる勉強や部活、進路に向けて精一杯頑張ることも直接役に立つことはできなくても、自分にできる一番確かな取り組みであり、被災地で生きる方々と共にこれからを一緒に生きていくことの大切さを考える、高校生としての身の丈にあった取り組みに気付いてくれていました。

 2年目は、地元の志津川高校の生徒さんからその当時の話を直接聞く機会を得ました。家族・親戚・親しい人たちを犠牲にした現実をまだ受け止められない、その心の葛藤と闘いながら中学生から高校生になった話に思わず涙ぐみながらその話に耳を傾ける女子生徒の姿がありました。同年齢でありながら高校受験の勉強を自宅ではなく仮設住宅の環境の中で取り組み、それでも犠牲になった友人を思えば勉強ができる自分は幸せであり、その夢を果たせなかった友人の分も自分が頑張ることで命のバトンとその絆を自分の生き方に繋げよう、そのような姿勢を共有することができました。仲間や友人が傍にいる、見えなくても心のなかにいる。人と人との繋がりや絆なの意味を理屈ではなく五感を通して学ばせてもらいました。「そばにいる 仲間がきっと そばにいる」現地の生徒さんが詠んだ句にもそのような想いが込められていたのかもしれません。

 3年目には仮設住宅訪問やボランティアを経験しながら、石巻専修大学で津波のメカニズムと復興については、具体例を通して学びました。特に復興については、阪神淡路大震災と北海道南西沖地震(平成5年)の例を踏まえ、復興の困難さを改めて認識することになりました。更に石巻西高の斎藤校長先生からは「災間を生きる」のテーマで講演を戴きました。日本で生まれ生活する私たちは、常に自然災害と背中合わせに生きている、この現実を直視しなければならないことを災害と災害の間を生きているという意味から「災間を生きる」という言葉で気付かせて戴くことができました。そして4年目の2015年春に南三陸を訪問した際には、海は穏やかで街並みはきれいな更地になっていました。眼下に広がりを見せる風景はただただ広く何もない状態でした。そこに何もないことが逆にたくさんのことを想像させることにもなりました。復興・再生は目に見えますが、本当に大切なものは目には見えないその根底にある生きる意欲の再生であり、それは人の心の持ち方や精神性につながるものであることを再認識する契機になりました。

 斎藤校長先生がその講演の中で「生徒を育てるのは生徒、先生を育てるのも生徒、学校を育てるのも生徒」そして教育の力とは、「生徒を幸せにする力」だと言っておられました。希望や生きる意欲を失いかけていても「人は自分が必要とされていることを感じることができれば、必ず生きていこうと思える」そうもお話しくださいました。桜丘は、これからも南三陸を訪問することを続けていきます。この震災を忘れずに、数々の教訓や復興の軌跡も含め、後世に伝えていくべきことは何であるのかを生徒の皆さんや先生方とともにしっかり受け止め共に生きていきたいと思います。今「別れと出会いの春」が訪れようとしています。生徒同士で高め合うことができる学校、生徒を幸せにする教育の力を目指し、震災5年目の節目の春、決意を新たにし臨んでいきたいと思います。

 


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